歯科用ボトックス療法(ボツリヌス療法)|川越市の歯医者・歯科みらくる歯科クリニック
歯軋りや顎の緊張はあなたの日常生活の一部になっていませんか?
近年、歯軋りや顎の緊張、それに伴う肩こりや偏頭痛に悩む人が増えています。ほとんどの人が無自覚に顎を緊張させており、突然その状態に気づいたり、睡眠中の歯軋りや顎の緊張によって、目覚めた時に顎の疲労を感じることで気づいたりすることがあります。また、パートナーからの指摘で気づくこともあります。
歯軋りや顎の緊張により歯にひびが入り、虫歯になるケースや、歯や歯根が破損する事例も増えてきています。歯軋りや顎の緊張は、歯の損傷だけでなく、全身にさまざまな問題を引き起こす可能性があるため、放置せず、早めの対策をしていきましょう。
このページでは、歯軋りと顎の緊張の原因と影響、そしてボトックス治療を用いてこれらの問題を軽減する方法について詳しく解説します。
歯軋り・顎の緊張の原因
①過蓋咬合に起因する歯軋り・顎の緊張
過蓋咬合は深い噛み合わせを指し、歯列矯正の問題点の一つです。上の歯が下の歯を大きく覆っている状態で、これにより奥歯で強く噛みしめる傾向があります。さらに、噛み合わせのバランスが不適切な場合、その部分を無意識に磨き減らそうとする歯軋りの傾向がある人もいます。このような状況では、咬合調整や歯列矯正と併せてボトックス治療が効果的な改善策となります。
②奥歯を使う咀嚼習慣
現代の食事環境では柔らかい食べ物が主流となっており、前歯よりも奥歯を使う咀嚼の習慣が身についてしまうことが多いです。奥歯で噛むことにより、筋肉に過度な緊張が生じ、これが脳に記憶されてしまうと、睡眠中でも奥歯で歯軋りや顎の緊張をする悪習が形成されます。
この結果、咬筋が発達し、エラが張ったように感じる人が多く見られます。
この場合、ボトックス治療を用いて筋肉の緊張を緩和し、噛み合わせの高さを調整することで対策します。さらに、必要に応じてマウスピースなどを使用し、治療を進めることで状況の改善を図ります。
③ストレスによる歯軋り・顎の緊張
現代社会や人間関係からのストレス、新型コロナウイルスによる人々とのコミュニケーションの制限によるストレスなど、さまざまな要素が歯軋りや顎の緊張を引き起こしている人が増えています。さらに、パソコンやスマートフォンの普及により、下を向く姿勢が増え、上下の歯が接触する時間が増えたことも一因と考えられます。
このような状況においては、年に一度か二度のボトックス治療を定期的に行うことで、歯軋りや顎の緊張の症状を緩和する可能性があります。
歯軋り・顎の緊張による影響
歯軋りや顎の緊張は以下のような様々な影響を及ぼす可能性があります。
- 首や肩のこり、偏頭痛
- 睡眠の質の低下(起床時の疲労感や顎の痛み)
- 過度の負担による顎関節症の発生
- 歯の破損や欠損のリスク
- 虫歯の発生率が増加
- 冠や詰め物が外れやすくなる
- エラが張り出し、顔が大きく見える(咬筋が過発達する)
- 頭痛や肩こりの発生
- 歯の摩耗
- 歯周病の進行
これらの影響にもかかわらず、自覚症状がない人もいます。したがって、以下のチェックリストを参照し、自身の状況を確認してみてください。
歯軋り・顎の緊張の確認チェックリスト
以下の症状や状況に該当するものがあるか確認してみてください。
- 日中に歯が接触し、顎を緊張させることに気が付く
- 目覚めたときに顎の疲労感や熟睡できていない感じがある
- 歯軋りや顎の緊張を指摘された経験がある
- 首や肩のこりが強い
- 段々とエラが張ってきて、顔が大きく感じるようになった
- 頬の筋肉に張りやこりがある
- 知覚過敏の歯がある
- 入れ歯や詰め物が取れやすい
- 歯が摩耗して噛むことが難しくなる部分がある
- 歯で口の中を傷つけた経験がある(口内炎になったことがある)
- このチェックリストに該当する項目がある場合、一度専門家に相談してみてください。何も該当しなければ安心ですが、該当する項目がある場合は早めに対策を考えることが重要です。
ボトックス治療を用いて歯ぎしりと食いしばりの症状を緩和する
ボトックスは、毒性を取り除かれたボツリヌストキシンの一部分から抽出される特定のタンパク質の一種であり、その名が広く知られています。
美容業界では、シワを解消するためによく用いられるこのタンパク質ですが、歯科分野においては、その筋肉弛緩効果が利用され、歯ぎしりや食いしばりの治療に大いに役立っています。
ボトックス治療による歯科領域での利点
- 歯ぎしりや食いしばりの状態が改善されます。
- 顎関節症の症状が軽減されます。
- 発達した咬筋がリラックスし、顔が細く見える効果が得られます(通称:小顔効果)。
- 歯ぎしりが引き起こす歯周病の原因を取り除くことができます。
- オトガイ(顎の梅干しジワ)の見た目が改善されます。
- ガミースマイル(歯茎が見えすぎる笑顔)の見た目が改善されます。
- 花粉症や口呼吸の症状が軽減されます。
ボトックス治療の効果持続期間
ボトックス治療の効果の持続期間は個々によりますが、一般的には約4〜6ヶ月が目安とされています。この治療法は永続的な効果をもたらすものではなく、その効果を持続させ、さらに改善するためには定期的な治療が必要となります。また、継続的な治療により、効果の持続時間が長くなる傾向もあります。
定期的な治療を通じて、現在の状態を歯科医師に伝え、治療の継続について話し合うことが重要です。
ボトックス治療についてのよくある質問とその回答
Q.使用しているボツリヌス製剤について教えてください。
A.当院では、アラガン社製のボトックス®︎と同じ菌株を使用した製剤を使用しています。その安全性と効果には高い信頼性があります。ボツリヌス製剤は製品により効果が異なり、また希釈の濃度によっても効果が変わることがありますのでご注意ください。なお、咬筋ボトックス治療では基本的に左右で44単位を使用し、患者さんの筋肉量や症状に応じて微調整しています。
Q.ボツリヌスとボトックスの違いを教えてください。
A.ボトックスは製品名です(アラガン社が製造)。したがって、ボツリヌス治療とボトックス治療は実質的には同じもので、両者ともボツリヌストキシンから抽出されたタンパク質を使用しています。
Q.痛みはどの程度ですか?
A.これは注射による治療ですから、腕に注射を打つような感じの痛みがあります。しかし、患者さんが痛みを最小限に感じるよう、呼吸法を指導したり、表面麻酔を使用することもあります。
Q.ダウンタイムについて教えてください。
A.ダウンタイムは基本的にありませんので、治療後すぐにご自宅に戻ることができます。稀に、治療後1週間程度で一時的に顎がだるく感じることがありますが、これはすぐに消失します。また、ごく稀に注射後に少し重たい感覚が生じることがありますが、これも通常は翌日には解消します。
Q.治療後の運動やお酒について教えてください。
A.当院で使用するボトックス(ボツリヌス製剤)の量は非常に少ないため、特に制限を設けていません。ただし、治療の当日には過度な運動や飲酒は避けることをお勧めします。